日本国内の自動車販売台数は減少が続き、2019年度はピーク時(1996年度)から3割以上も減っているなか、新型コロナウイルスが業界を直撃した。
今後も生活様式の変化に伴い、需要減は続くとみられている。日本の乗用車メーカー6社は先行きが見通せず、今期(2021年3月期)の業績予想を軒並み「未定」とするほど。トヨタ自動車だけは「営業利益5000億円の黒字」を見込むが、もちろん“利益2兆円企業”からすれば苦境に違いない。経済ジャーナリストの福田俊之氏が指摘する。
「トヨタの完全子会社にはダイハツがあり、スバル、マツダ、スズキとも資本提携の関係にある。自動車業界はトヨタグループを中心にコロナ収束まで我慢比べの状況です。
自主独立を貫いてきたホンダは稼ぎ頭の二輪事業はともかく、米国、中国頼みな四輪事業はコロナ以前から収益性も悪くて先が見通せない。さらに不安定なのが仏ルノーを含めたアライアンスを組む日産自動車、三菱自動車の『日産連合』です」
コロナの影響が本格化する前の前期(2020年3月期)決算でも日産、三菱の2社は最終赤字に陥っている。
「日産は今後1年半で国内市場に12車種を投入予定ですが、三菱は東南アジアに注力してスリム化することで生き残りを図ろうとしている。今はコロナという共通リスクで結束しているが、日産連合がいつまで続くかは不透明です。大手の系列部品メーカーの統合・再編を含め、業界は大きく変わっていくだろう」(同前)