アメリカがAIIBに加盟する一方で、アメリカは新しくAIIB同様の国際的な開発銀行を設立し、そこに各国から資金を出資させるシナリオもあるだろう。その新しい開発銀行の融資を核に、さらに民間から資金を引き出し、官民連携(PPP)で投資を行う。
米中の貿易摩擦は激化するだろうが、それは一面である。アメリカにとって、米中関係は世界で最も重要な関係であり、良好な米中関係は両国の国益にもかなう。
日本に関して言えば、TPPではアメリカに梯子を外された。これでアメリカがAIIBに参加するようなことになれば、日本が考える中国包囲網は完全に崩壊する。日本の対中政策について、再検討すべき時期に差し掛かっている。
文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うTS・チャイナ・リサーチ代表。ブログ「中国株なら俺に聞け!!」、メルマガ「週刊中国株投資戦略レポート」も展開中。