突然、身に降りかかってくるのが、病気やけが。そうなった場合、医療費はもちろんだが、さまざまなお金が必要になってくる。何にどれだけのお金がかかるのか、乳がん治療の経験があるファイナンシャルプランナーの黒田尚子さんに話を聞いた。
「かかるお金は主に3種類。病院に支払う医療費、病院に支払う医療費以外のお金、病院以外に支払うお金です。病院に支払う医療費については、一般的に70才未満は3割負担で済みますし、『高額療養費制度』を申請すれば、ある程度補填されるので、かかる費用の目安はつきやすいといえます。たとえば一般的な所得なら、1か月の治療で上限は9万円程度。3か月にわたっても上限は27万円程度です」
注意したいのが、医療費以外の支出が意外と多いことだ。生命保険文化センターの「2022年度生活保障に関する調査」によると、1回の入院時の自己負担費用は、平均19.8万円、1日あたりで平均2万700円【*】だ。この中には治療費のほか、1食100~460円の入院時の食事代、差額ベッド代、自身や見舞いに来る人の交通費、日用品費などが含まれる。
【*過去5年間に入院した人の直近の入院時の自己負担費用平均額(高額療養費制度を利用した人と利用していない人、両方を含む】
「抗がん剤治療を受けている患者さんの中には、副作用で体力を奪われるため、公共の交通機関を使ったり、自分で車を運転して通院するのがつらく、タクシーを使っている人が多いんです。食事を作る体力もないため、デリバリー代が増え、想定外の支出が増えたという話はよく聞きます」(黒田さん・以下同)
女性なら、入院時のパジャマ代や、冷えを防止するグッズも必要になり、退院後は再発予防の健康食品などにお金をかける人も多いという。