今回の相次ぐ米銀行破綻で特に下落幅が大きかったのが「銀行株」だったが、戸松氏はこう言う。
「SVBは米国の新興テック企業、シグネチャーは暗号資産(仮想通貨)関連に取引が集中した結果、破綻に追い込まれました。一方で日本の銀行は取引先が分散されているので、多大な影響が及ぶと見るのはナンセンスです。急落は一時的なものと考えられるので、銀行株はより買い時といえるかもしれません」
日本の銀行株はただでさえ割安といわれる。さらに配当利回りも4%以上の銘柄が少なくない。高配当というメリットもあるわけだ。
銀行株への投資を考えるうえで筆頭となるのが、メガバンクだという。
「三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下、FG)は、今期の予想配当利回りが4%近く、三井住友FGも増配基調が続いている」(戸松氏)
地銀への投資も有力な選択肢になるという。現在、全国的に地銀再編が進んでおり、競争力の高まりが期待できる。
「秋田銀行と岩手銀行は2021年から包括業務提携していて、今後は両行が舵を取るかたちで東北の地銀再編という期待が持てます。任天堂や京セラといった京都の有力企業に出資する京都銀行にも目を向けたい」(同前)
アフターコロナで経済正常化が加速した先には、銀行株“バブル”が待っているかもしれない。
※週刊ポスト2023年3月31日号