ビットコインをはじめ、世界に2万種類以上が流通するとされる暗号資産(仮想通貨)が新たな投資として注目される。暗号技術によりデータの破壊や改竄にも強いとされ、世界中にリアルタイムで送金できるなどの特徴から取引量は増加の一途だ。先駆けとなったビットコインは、2010年の流通開始当初1ビットコイン=約7円の価値だったが、2021年10月には700万円超に跳ね上がった。
そうした流れを受け、ネット上では「資産が1000倍に」「10万円が1億円に」といった暗号資産投資への惹句も見られるが、甘い儲け話の裏側には、当然、大きなリスクが潜んでいる。暗号資産に詳しいライターの向井翔太氏が言う。
「以前と比べて暗号資産のルールは整いつつありますが、詐欺的な暗号資産の勧誘は続いています。表面化はしにくいが、闇名簿を利用して高齢者に『必ず儲かる』と持ちかける暗号資産詐欺も多発している。また、実際の取引でも暗号資産の外部流出や大暴落のリスクは変わらずあり、近年も大きな取引所の経営破綻によるトラブルが起きています」
昨年11月に経営破綻した世界2位の取引所「FTX」をめぐっては、その後、創立者が詐欺容疑などで逮捕・起訴されるなど事件が拡大した。
「FTXには世界最大の資産運用会社をはじめとした“投資のプロ”や古参の個人投資家も投資していたが、倒産により預けた資産が引き出せなくなったというトラブルも報告されています。
SNSなどで影響力を持つインフルエンサーが暗号資産を紹介したことで、投資初心者や未経験者の関心を集めていますが、1年で10分の1程度に値下がりする例はザラ。当のインフルエンサーたちが“秒速で10億を溶かした”と明かすこともあるほどです」(同前)
大きなリターンが目立つ投資には、大きなリスクもつきものということだ。
※週刊ポスト2023年3月31日号