粗大ごみで出せないの?
業を煮やしたジュンコさんは、一人だけで遺品整理に取りかかることを決意した。それから約半年に及ぶ孤独な闘いが始まった。
「幸い、実家までは私の自宅から電車で1時間くらいなので、パートから帰って週3~4日、夕方から2~3時間作業できました。今日はここを片づけるという風に小さな目標を設定し、それをクリアしていく感じです。できるだけ作業日はごみ収集日の前夜にしました。当時60代でしたが、ハードでした……」
ジュンコさんによると、それぞれの場所で作業に着手する際、まずは「取っておく必要のあるもの」をより分け、衣類や貴金属など数種類に分類。その後、ごみを処分するという流れだったという。母親本人がいないため「いるのか」「いらないのか」の仕分けの判断が難しいが、どうしていたのか。
「迷っていたらキリがないので、業者が買い取ってくれそうなもの、思い出深いものをピックアップしました。遺品は衣類が多かったので、少しでもにおいやシミ汚れのあるものは何も考えずに捨てました。マイルールの設定が大事だと思います」
とはいえ、不用品の処分でジュンコさんは“難敵”にぶつかった。「粗大ごみに出せないもの」という想定外の壁があったのだ。
「サイズや素材によって、ごみに出せないものがあったんです。母が住む自治体では、大きすぎるという理由で、粗大ごみとして『仏壇』を回収してくれず、困りました。結局あれこれ調べて、仏壇専門の業者に買い取ってもらうまで一苦労でした。『金庫』も粗大ごみに出せません。民間の業者に頼むと4万円くらい処分にかかると言われました。何件も買い取りを断られましたが、どうにか引き取ってくれるところを見つけました」