自分が終活を進めるうえでの「気づき」
一人ではできないことももちろんある。大型家具や家電を2階から1階に下ろす、エアコンの取り外しといった作業は、「便利屋」「なんでも屋」といった時間単位で料金を設定する業者に協力してもらったという。
そうした苦労の甲斐あって、約半年かけて遺品整理を終えたジュンコさん。費用はトータル約25万円、そのうちごみの処分が約15万円だった。費用を抑えられただけでなく、自身が終活を進めるうえで「気づき」もあったそうだ。
「母が認知症になる前、大きな鍋や皿をいくつも保管していたので、理由を尋ねると、『みんなで集まることがあるかもしれないから』と答えていました。口には出さなかったけど、寂しかったのかもしれません。当時、本人の納得のうえで捨てたのに、母が翌日に拾って帰ってきたことがありました。
強引にではなく、『残された人が大変だから』などと諭すように、生前に片づけを進めておくべきでした。自分の時は子供の負担が必要最低限で済むように、折を見て整理を始めようと思います。母の遺品整理で、自分の終活を否応なしに考えさせられました」
すべての人に最期の刻は平等にやってくる。親が健在のうちに本人の気持ちを尊重しながら、生前整理について家族全員で話し合っておきたい。(了)