このように、金融システム不安がピークを過ぎたと考えられることに加え、FRBの利上げ停止期待が高まっていることもあり、今後は再びファンダメンタルズ(経済状態を表す各種指標)へと市場の関心が移っていくことが予想される。ただ、景気後退懸念に加えて、東京市場では需給悪要因もくすぶり、しばらくは上値の重い展開が続きそうだ。
3月期末にむけては配当・株主優待の権利取りを狙った個人投資家の買いや、株価指数連動型ファンドによる配当再投資目的の先物買い需要が1兆円超に上ると推計されている。また、金融機関による決算対策の期末に向けた売りも間もなく一巡してくると想定される。しかし、日経平均が大幅反発した先週の祝日明け22日、ネット証券の売買代金ランキングでは日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信<1570>が売り越しとなっており、27500円水準では戻り待ちの売り圧力が強いことが確認された。また、17日時点での裁定取引に係る現物ポジションの買い残は1兆2286億円と引き続き高水準にあり、積み上がった裁定買い残の解消圧力も引き続き上値抑制要因として働きそうだ。
さらに、信託銀行は3月第2週まで17週連続で現物株を売り越している。年金基金等のリバランス(資産配分の再調整)売りはそろそろ一巡してきそうだが、日経平均などがいまだ昨年末の水準を上回っている中、リバランス売りが月末いっぱいまで続く可能性もある。ほか、日経平均の新規採用銘柄と除外銘柄の入れ替えに伴い、日経平均全体としては約2000 億円超の換金売りが月末に生じると予測されている。4月に入れば新年度入りに伴う新規買いなどで需給好転が意識されてきそうだが、3月最終週は全体として需給はやや売り優勢になりそうで、注意したい。
個別では、半導体を中心としたハイテク株に注目だ。28日に米マイクロン・テクノロジーの決算が予定されている。今年後半からの市況回復と米金利の先高観後退を背景に半導体関連株には非常に強い動きが見られており、マイクロンの決算を受けてあく抜け感が一段と高まるかに注目したい。また、31日には中国の製造業購買担当者景気指数(PMI)が発表予定。指標の結果を受けて工作機械など中国関連株が動意づく可能性もありそうだ。
なお、今週は27日に2月企業サービス価格指数、29日に配当・優待権利付き最終売買日、31日に3月都区部消費者物価指数、2月有効求人倍率、2月鉱工業生産、2月住宅着工統計、3月中国製造業PMI、米2月個人消費支出(PCE)コアデフレーター、などが発表される。