私たちは息子の将来に“投資”をしている
他にも、メンタル面を強化させたいとの想いから空手にも通わせているそうだ。空手に関しては楽しく通っているようで、最近は大会出場を意識した特訓などもしているという。しかし両親としては微妙な気分だそうだ。
「空手に目覚めたのは想定外でした。夫は野球が疎かになることが不安なようです。あれだけ期待されていた息子がもし野球を辞めるとなったら、周囲から何と言われるか……」
息子の習い事優先の日々を送っているため、サツキさんはパート日数をセーブ。習い事の送り迎えや練習試合の引率など、付き添いに専念していた。野球、空手、英会話の月謝は2万円を超えるという。世帯年収500万円のサツキさん夫婦からすると痛い出費であるものの、「あとで回収すればいい」と話していた。
「私たちは息子の将来に“投資”をしていると思っています。大人になった時、稼ぎの一部を還元してくれればそれでいいんです。大物に育て上げるにはお金も時間もかかるのは承知しています」
最近の悩みは、習い事に専念しすぎたことで学校の宿題が疎かになっていること。つい怒鳴ってしまい、息子とケンカになることもしばしばだという。さらに金銭的には苦しくなるが、個別指導塾に通わせることを検討しているとのことだった。一方、肝心の野球はまだレギュラーメンバーに入ることができず、両親とも今後に不安を感じ始めていると愚痴を漏らしていた。
子どもに夢を抱く親は多い。しかし親側が間違った方向に力を入れすぎてしまうと、子供にとっては逆効果になる恐れもある。習い事に通わせることも大切だが、まずは親子でWBCで得た感動を分かち合い、子供自身が夢を見つけられるよう、ゆっくり話し合う時間を作ってもいいかもしれない。(了)