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キャリア

「若い人には率先して話しかけます」 声優・日高のり子さんが「年齢の壁」を乗り越えるために意識していること

「実は私、家の近くの耳鼻科に通う程度で、特別なのどのケアはまったくしていませんでした。ですが一昨年、のどの不調で専門医に診ていただいたら、『正常な声帯は、声を出すときにしっかりと閉じているものですが、日高さんの声帯は少しすき間が空いていて、さらに乾いています。声帯ケアと並行し、体のメンテナンスもやっていますか?』と聞かれたんです。張りのある声を出すには体が滞っていてはダメなんですって! マッサージや鍼で体をゆるませることも、のどには大事だと、いまさらながら教わりました。

 また、言語聴覚士のかたからは、『加齢とともに声帯が変化していることを受け入れ、無理をせず、いまののどにふさわしい使い方に変えていきましょう』とアドバイスを受けました。

 ある程度声が出づらくなるのはしかたがないと諦めていたけれど、知識を得て適切なケアをしたら、前より楽に、より若々しい声が出せるようになった。『諦めたら終わり!』ですね。私たちの世代って、自分を甘やかすのが苦手な人が多いと思うんです。私もそうですが、頑張りすぎて力んじゃう。

 でも、一息ふーっと吐いて、どこにも力が入っていない素の自分で仕事をした方がうまくいくことがわかったんです。生放送で緊張する『あさイチ』の現場でも、肩の力を抜いたらどんな球でも受け止められるようになりました」

道を開くコツは楽しみを見出すこと

 女優を目指して10才で児童劇団入りしたが、なぜかアイドル歌手としてデビュー。その後、テレビ番組の司会やレポーターなどを経て、声優という天職に辿り着くまで、その道のりは長かった。

「腐らずに続けてこられたのは、自分が希望する仕事でなくても、その中に、1つでも楽しみを見出すように心がけたからです。

 たとえば、そこで出会った人と積極的にコミュニケーションを図ったり、まったく興味のない分野でも、『こうすると面白くできるかな?』と工夫をしてみたり。最終的に『意外とこの仕事向いているかも』なんて思うこともありました。

 やがて、小さな努力が人に伝わり、後につながっていきました。自分の目標にまっすぐ向かえず、右に行かされたり、左に行かされたりした人生ですが(笑い)、行った先々で何かしらのお土産をもらってきたなと思います。

 それらがいっぱいになって、いざというときにあれも出せる、これも出せるというように、自分の抽斗がどんどん増えていきました。そのときは失敗したと思っても、振り返れば、何ひとつ無駄なことはないというのが、私の遠回り人生でつかんだことです。

 仕事に限らず、実生活でも何か楽しめるポイントを見つけると、心持ちが変わると思いますよ。どう頑張ってもポジティブな点が見つからないときは、『今日のご飯がおいしかった』でもいいんです(笑い)」

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