住まい・不動産

「家に払い続けたお金はもったいなかった」 園まりさんが語る、自宅を処分して感じた変化

自宅を処分して気持ちにも大きな変化があったという園まりさん

自宅を処分して気持ちにも大きな変化があったという園まりさん

 物への執着を手放して、身軽で快適な人生を手に入れる──ミニマムな暮らしの概念が定着して久しいが、労力や時間をかけて手放すのならば、そのぶん何か得られる方法を探りたい。多くの人にとって人生最大の買い物だったであろう「家」の扱いを見直したというのは、歌手で女優の園まり(78才)だ。

「いま振り返ると、自分の家に払い続けていたお金はもったいなかったですね」

 1960年代に中尾ミエ(76才)、伊東ゆかり(75才)とともに「スパーク3人娘」として活躍した彼女はデビュー後、都内に5DKの自宅を購入して母と姉と3人で暮らしていた。

 だが2011年に姉がくも膜下出血で急逝し、その後2016年には園が介護していた母も99才で亡くなった。

「ひとりで住むには大きすぎるのでマンションに引っ越しましたが、戸建てはそのままにして、月に1回帰っていました。家の中はパンパンになるまで物であふれ返って整理すらできない状態。だから手放すなんてとてもできませんでした。作業が大変なので放置して、もったいないと思いながらも固定資産税と光熱費を惰性で払い続けていました」(園・以下同)

 主を失い、思い出と大量の物だけが残る家の維持費が積み上がるなか、転機は2020年8月に訪れた。デパートで買い物中に転び、膝下骨折を負った園は、急きょ入院することになったのだ。

「着の身着のまま入院し、コロナ禍で面会も禁じられて、生活が一変しました。1日3食の病院の食事は質素だけど体にしみ入るものがあり、それまで外で食べていた豪勢な食事がかすむほど。狭くて無機質なはずの病室も妙に心地よくて、退院してからもこんな簡素な生き方ができればいいなと思ったんです。退院したら自宅とマンションを手放そうと心を決めました」

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