トランプ氏はTPPに反対です。今のTPP合意は日本にとって不平等条約ともいえる非常に不利な内容で、トランプ氏がご破算にしてくれれば、日本経済にプラスのようにも見えます。しかし、トランプ氏の通商政策はそんな甘いものではありません。
トランプ氏は、TPP合意というちゃぶ台を一度ひっくり返して、ゼロから、日本にとってはるかに厳しい要求を突きつけてくると思われるのです。これは、じわじわと日本経済の首を絞めていくことになるでしょう。
3つ目の、そして最大の影響は、為替政策です。昨年の演説でトランプ氏はこういっている。
「日本の安倍首相は、(米国経済の)殺人者だが、ヤツは凄い。地獄の円安で、米国が日本と競争できないようにした」「キャタピラーがコマツより売れないのは、円安誘導のせいだ」
為替レートを決める要因のひとつに、資金供給の比率があります。つまり、日本が金融緩和で資金供給を拡大すると、為替は円安に向かうということです。トランプ氏が批判しているのは、実はアベノミクスの金融緩和政策なのです。
為替が1ドル=79円の超円高となり日本経済が危機に陥った民主党政権の末期に、私は民主党幹部に、「今すぐ大規模金融緩和をしないと日本経済が危ない」と進言しました。だが、その幹部は私にこういったのです。