また、ブラックロック、オッペンハイマー、JPモルガンなどの投信会社は、株価上昇局面では保有株式の一部について処分売りを行ない、「買い」は見送ったという。
他方、ウィントンキャピタル、ブリッジウォーター、PGIといったヘッジファンドは、取引の途中から、堰を切ったように株買い、ドル買い、国債売りに転じたという。つまり、大統領選直後の「株高・ドル高」を演出したのはヘッジファンド勢だったのである。
だが、選挙前のヒアリングでは、ヘッジファンドも他の海外投資家同様、トランプ氏の当選で株価は大きく下げると想定していた。実際、選挙前はショート(売り)ポジションを大きく積み上げており、それが「S&P500指数」の8日連続安につながっていたのだ。
では、なぜ株買いを行なったのか。
実は、すでに多くのヘッジファンドは10月初旬からショートポジションを拡大。選挙直前には、運用リスクの管理上、これ以上積み上げることができないという限界点に達していたという。
そこで、さらなる運用リスクの拡大を回避するため、結果がどうあれ、ショートポジションの解消=株買いに踏み切らざるを得なかったというのだ。
こうした事情はヘッジファンド各社に共通していたと見られ、大手がいったんショートポジションの解消に動いたことで他も次々と追随。投票日当日までマーケットのポジションがショートに大きく偏っていたため、瞬く間にトレンドが転換し、買い一色になったと考えられる。
ある世界最大手クラスのヘッジファンドでは、次のようなやり取りがあったという。