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米景気後退懸念あるが一方的なドル高・円安考えにくい

 加えて、ファンダメンタルズ面での円高要因も強まりつつある。貿易収支および経常収支における黒字の増大傾向だ。

 国際収支統計速報によると、2016年度上半期(4~9月)の輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は2兆9955億円の黒字だった。半期ベースの黒字額としては10年度上半期(3兆3315億円)以来の大きさとなっている。

 同じく、2016年度上半期の経常収支の黒字額は、前年同期比20.5%増の10兆3554億円。年度の上期としては2007年以来9年ぶりの高水準で、2008年のリーマン・ショック以降では最大の黒字を記録している。

 黒字増大の要因としては、なんといっても原油安による輸入額の減少の影響が大きい。また、経常収支の黒字には訪日外国人の増加が貢献している。

 原油価格は一時期の低迷から脱した格好だが、WTI原油で1バレル=50ドル台の維持は容易ではなさそうだ。当面、高水準の黒字が継続すると考えるのが妥当だろう。これは実需面での大きな円高要因となる。

 さらに、2017年は、米国の景気についての不透明感が増してくると考えている。循環的にみると、いつ米国経済が下降局面に入ってもおかしくないからだ。

 現在の景気拡大は、リーマン・ショックによる景気低迷から脱した2009 年 6 月からスタートしている。

 つまり、2016年12月で拡大期間は7年6か月、90か月続いていることになる。戦後となる1945年以降の平均58.4か月をはるかに上回り、これまで最長だった前回の拡大期間(2001年11月~2007年12月)の73か月を大きく超えている。

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