一方、親から子ではなく、夫から妻に自宅を贈与する場合、別掲リストの「おしどり贈与」を使えば、2110万円までの贈与が非課税になる。
「ただ、おしどり贈与の利用にも慎重な検討が必要です。配偶者の場合は相続時に1億6000万円(ないし法定相続分)までは相続税が非課税という手厚い『配偶者の税額軽減特例(配偶者控除)』があります。よほどの資産家で相続税が超高額になるケースは別ですが、総財産が2億円超くらいの水準であっても生前の『おしどり贈与』より死後の『配偶者控除』のほうが節税効果は高いと考えられます」(木下氏)
その他、子が自宅を受け継ぐ場合でも、親と同居しているなどの条件を満たせば相続時に評価額を大きく圧縮できる「小規模宅地等の特例」が使えるケースがある。
「不動産の場合、生前贈与が得となるケースは限られるので、注意深く検討しましょう」(木下氏)
※週刊ポスト2023年5月5・12日号