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【5月1日から値上げ】朝日新聞、経費削減で社内報廃止・希望退職募集の苦境 OBは「覚悟を決めなければならない時が来た」

大幅値上げを余儀なくされた朝日新聞の苦境(時事通信フォト)

大幅値上げを余儀なくされた朝日新聞の苦境(時事通信フォト)

 朝日新聞が5月1日から値上げされる。朝夕刊セット版の月ぎめ購読料は4400円から4900円に、統合版は3500円から4000円に改定される(いずれも税込み)。背景に原材料費の高騰などの影響もあるため、購読者の間でも賛否両論あるようだが、朝日新聞OBからは値上げに対して憂慮する声が上がっている。元朝日新聞編集委員で『徴税権力 国税庁の研究』などの著書がある落合博実氏が、今回の「朝日新聞購読料改定」について思いを語った。

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 部数急減、販売・広告収入の急減、加えて用紙代の大幅値上げに迫られ、朝日新聞の経営陣は途方に暮れているように見えます。過去、私はOBの1人として雑誌メディアで朝日新聞の紙面・報道姿勢に苦言を呈してきましたが、今、「朝日新聞、ざまあ見ろ」といった「朝日たたき」に同調する気はありません。

 しかし、4月5日の値上げ社告を読んで非常に驚きました。朝日は2021年7月に値上げをしたばかりです。1年10か月で863円(朝夕刊セット版)もの値上げです。年額では1万円を超す負担増になります。そのうえ時期が最悪です。物価上昇の嵐に見舞われ、国民の生活は逼迫の度を増しています。そうしたさなかでの大幅値上げ。読者からの拒否反応が目に見えています。

〈新聞用紙など原材料が高騰し、読者のみなさまにお届けする経費も増加しています〉

 と言っていますが、今ひとつ説得力に欠けます。発行部数がつるべ落としに減っており、ABC部数で400万台を割り込んでいます。ここで大幅値上げなどすれば、最悪の場合、部数減は直視しがたい数字に落ち込むかもしれません。

 一方で、読売新聞は、10日前の3月25日、「値上げしません 少なくとも1年間」と紙面で大々的に宣言しています。同紙は〈物価高騰が家計を圧迫する中で、読者の皆さまに正確な情報を伝え、信頼に応える新聞の使命を全うしていくため、読売新聞社は少なくとも向こう1年間、値上げしないことに決定しました〉と強調しています。

「本紙は値上げしません 少なくとも1年間」と宣言した読売新聞の狙いは?

「本紙は値上げしません 少なくとも1年間」と宣言した読売新聞の狙いは?

経費削減で社内報も廃止

 日本の新聞各社は部数急減による販売収入、広告収入の大幅減で例外なく危機的な状況に追い込まれています。そこへウクライナ戦争による資源価格の高騰や円安を背景に製紙各社が新聞用紙代の大幅な値上げを要求しています。

 経営が苦しいのは読売も同じです。しかし、「ここは我慢のしどころ」と考え、朝日の値上げの先手を打って勝負に出たのでしょう。

 朝日は人件費の抑制、希望退職の募集など、様々な手を打ってきています。最近では、紙媒体の社内報を廃止するなど細かな諸費用の削減にも手をつけています。しかし、これでは焼け石に水なのかもしれません。同業他社と比べて優良固定資産を多く抱え、経営基盤が比較的固いとみられてきた朝日新聞ですが、相当な苦境に追い込まれているようです。

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