「特定空き家」に指定されると固定資産税が6倍に
空き家が増加傾向にあることを問題視した政府は、2015年に「空家等対策の推進に関する特別措置法」を施行した。この法律では、倒壊の危険や著しい衛生上の問題を抱えた空き家を「特定空き家」と認定し、所有者に対して修繕や解体を求めたり、行政代執行として取り壊したりする権限が自治体に与えられる。
自治体の助言や指導に従わずに放置すると「勧告」を受け、前述した「住宅用地の特例」の適用から除外される。本特例から除外されると、土地の固定資産評価額が6分の1にならないため、固定資産税の負担額が約6倍になってしまう。計算例で紹介した京都市の住居が特定空き家に指定された場合、固定資産税は約50万円まで膨れ上がる。空き家税を合算すると、負担額が約45万円も増えることとなる。
なお、すべての空き家が特定空き家に認定されるわけではなく、適切な管理をしていれば基本的に認定されることはない。特定空き家に認定されるまでには、自治体による助言や立入調査が実施される。これらを受けたときに適切な修繕や対応をすることで、認定を避けることができるだろう。また、自身が居住できなくても、知人や親族に住んでもらったり、賃貸物件として貸し出したりする手段もある。特定空き家に認定されないためにも、空き家を管理していくことが大切だ。
2023年4月時点で空き家税の導入を決定したのは京都市のみだが、全国的に適用が広がる可能性がある。空き家税は「法定外税」という税種別に区分されており、総務大臣の同意があれば、自治体の条例によって新設できる。2000年時点に18件しかなかった法定外税だが、2023年4月1日には65件まで増加している。京都市をモデルケースとして、空き家税の導入を検討している自治体があるだろう。空き家所有への負担が増加することから、どのようなコストがかかるかを確認したうえで、その対策を検討したい。(了)