「高齢者男性の乙女化」も研究したい
最後に大学院を修了したテリー氏に「リスキリング」の魅力について聞いた。
「やはり新たな自分との出会いですよね。勉強って大変で、自分の思い通りにならないし、なかなか思うような成果が出ない。でもそんな悩みの中で、自分の中の新たな感性に気づいたりする。実は大学院の論文でも、頓挫したテーマがあるんです。それが『高齢者男性の乙女化』です。自分にとって自信になっていた体力や精力が衰えたいま、沸々と湧き上がってくる、道端の花だったり沈む夕日だったりに感動する心ですね。これって、俺の中に乙女的な感性が芽生えたんじゃないかと思うわけです。
こういう感性に気づけたのも学び直しがあってこそだと思うんですね。学び直すことで生き直せる。大学院にはまだしばらく出入りしていいと言われていて、研究室も使えるみたいだから、これを次の論文に何年かかってもまとめていきたいと思っています」
テリー氏が研究する「高齢男性の乙女論」、今からどんな内容になるのか楽しみだ。
取材・文/河合桃子(ライター)