最大の根拠は、2011年にも浮上した米国の債務上限問題、いわゆる「財政の崖」にある。
トランプ新政権が進めようとする財政出動や大型減税は財政赤字を膨らますことにつながり、それがまた米国が定める債務の上限に達すれば、上限引き上げ法案を議会で可決する必要がある。
幸いにも大統領選と同時に行われた米議会選挙では上院も下院も共和党が過半数を握り、ねじれは解消されたため、今後債務上限問題が浮上しても議会で可決され、際限なく債務が膨らみ続けるのは想像に難くない。
そうなると、しっぺ返しは必ず来る。財政赤字の増大によってドルに対する信認が薄れ、ドル売りが加速。すなわちドル安である。
2016年は利上げを遅らせた米国の金融政策に失望したドル安が進行したが、2017年は財政政策に失望するドル売り要因が膨らみかねない状況まで予想されるのだ。
トランプ大統領誕生によってレジーム・チェンジは起こったが、歴史は繰り返す。