世界最大のシンクタンクである、米国ブルッキングス研究所の米国政策を担当するトップアナリストは、私のインタビューに対して、「一部の楽観派は、トランプ氏は大統領として穏健な選択をすると考えているが、仮にそうなれば、これまで熱狂的にトランプ氏を支持してきた、有権者の30%以上を占める白人ブルーカラー層が暴動を起こし、社会秩序が深刻に揺らぐ可能性を考える必要がある」と答えている。
ブルッキングス研究所は、選挙前に最もトランプ大統領の可能性を高く予測していたシンクタンクのひとつである。
また、前述の見方は、民主党系のブルッキングスだけでなく、共和党系のカーネギー研究所や戦略国際問題研究所といったシンクタンクにも散見され、投資家に共有されつつある。
たしかに、経済政策では、法人・個人の減税や、金融機関を規制する『ドッド=フランク法』の撤廃など、ポジティブな政策があるが、多くのシンクタンクが想定しているトランプ・リスクは外交政策である。
外交政策によって経済がガタガタになるというシナリオだ。このシナリオは、トランプ政権が発足して以降、常に念頭に置いておくべきだろう。
※マネーポスト2017年新春号