株価への影響が大きい経済指標としては、日銀短観やGDP(国内総生産)などが挙げられるが、近年投資家の注目を集めているのが「街角景気」とも呼ばれる「景気ウォッチャー調査(以下景気W調査)」だ。
これは2000年に始まった新しい調査で、市井の景気動向を知るのに役立つ指標なのだが、この調査結果を株式投資に活用することもできる。
本来なら、株価は景気に先行するので景気指標は株式投資の役には立ちにくいとされている。ところが、景気W調査の現状判断DI(内閣府が景気ウォッチャー調査に基づいて発表する景気の現状に関する指標)は景気の谷に3か月ほど先行する傾向があるのだ。
というのも、企業の経営者を対象としている日銀短観とは異なり、景気W調査はタクシー運転手やデパート・コンビニ・スーパーなどの店員、商店主、大学の就職担当者や求人雑誌の編集者など消費や雇用の最前線に立つ人々の景況感を集めている。
中小企業の従業員も多く、生産だけでなく受注や引き合いの動向も知る立場にあり、企業決算に反映されるずっと前の景気の方向性を肌で感じているのだ。
景気W調査ではこうした人たちの声を月末に回収し、翌月の第6営業日にスピード公表しているため、先行性が非常に高いのである。