景気W調査と日経平均株価の動き自体に大きな相関性はみられないが、下落局面から上昇局面へ、あるいは下落局面から上昇に転じる「転換点」においては、高い確率で一致している。この特徴を株式投資に活かすことができないか、シミュレーションしてみた。
景気の現状を示す「現状判断DI」は50が中央値で、それを上回るほど景気は良く、下回るほど悪い。前月比マイナスが続いた現状判断DIがプラスに転じ、なおかつ1.0以上改善したら「買い」、プラスからマイナスに転じ、1.0以上悪化したら「売り」という売買シグナルを設定し、発表日の引け値で日経平均株価1単位を売買するというシミュレーションを2000年からのデータで試算した。
すると、これまで33勝22敗、累計で2万5370円の利益が出ていることになる。勝率でいうと6割なので特別に高いわけではないが、長期でこれだけの利益をあげているのだから、投資判断の参考に活用する分には悪くはないだろう。
この試算は反対のシグナルが出るまで持ち続ける設定だが、途中で利益確定するなどアレンジすれば勝率は上がる可能性もあり、日経平均に連動するETF(上場投資信託)などの売買に利用している投資家も少なくないようだ。調査結果は毎月第6営業日の原則14時以降に内閣府のウェブサイトで確認できる。
【PROFILE】たくもり・あきよし:さくら証券、さくら投信投資顧問のチーフエコノミストを経て、現在は三井住友アセットマネジメント理事・チーフエコノミスト。ESP景気フォーキャスト調査委員会(日本経済研究センター)委員、景気ウォッチャー調査研究会(内閣府)委員。著書に『ジンクスで読む日本経済』など。
※マネーポスト2017年新春号