着床前診断を行うため男女の産み分けも可能
では具体的に、どのような流れで卵子提供をしてもらうのだろうか。
「まずは東京で面談をした後、プロフィールの中からご夫婦で卵子提供者を選んでいただきます。その後、ふたりで3泊5日ほど渡米してもらい、検診やドナー契約をし、ご主人から体外受精用の精子を採取・凍結します。一旦日本に帰国していただき、その間にドナーから採卵。卵子とご主人の精子で体外受精をします。着床前診断で受精卵の染色体に異常がないか確認したら、再度奥さまだけ3泊5日の渡米をしてもらい、胚移植をし、帰国してもらいます」
妊娠判定は帰国後になる。その間に服用する薬も処方され、生活習慣についても細かく指示してくれる。着床前診断で、染色体異常がないか調べるため、障害を持つ子供かどうかがわかるだけでなく、性別の産み分けもできるという。
費用は600万円以上だが利用者は一般サラリーマンが多い
費用は約4万4500ドル、日本円で600万円ほどだ。これに、渡航費や滞在費がかかる。高額ではあるが、利用者のほとんどが公務員や一般的なサラリーマンで、決して裕福な人だけではない。このために貯金し、満を持して挑戦するという夫婦が多いのだという。
「私の個人的な思いとしては、20~30代のうちに産むのがベストだと思います。でもキャリアなどから足踏みする人が多いこともわかります。今後は若いうちに卵子を凍結保存しておくことがスタンダードになると考えています」
他人の卵子でできた子供とはいえ、戸籍上の、産みの、そして育ての母になれる。こういう形で子を持つ選択肢を選ぶ人もいるのだ。
【プロフィール】
川田ゆかりさん/医療コーディネートを手掛けるIFC代表。医療機器メーカー勤務を経て現職。著書に『いつまで産める?わたしの赤ちゃん~いま、不妊治療・生殖医療ができること 自然妊娠から卵子提供、代理出産まで~』(実業之日本社)。https://www.ifcbaby.net/
※女性セブン2023年6月1日号