しかし、派遣先との間で派遣契約が解除されたからといって、当然に派遣元が派遣労働者を解雇することはできません。労働者派遣法では、派遣先の義務として自分の都合で解除するときは、派遣元が労働者に支払う休業手当の負担等の必要措置を義務付けています。これは行政法上の義務ですが、派遣元としては、派遣契約に同種の条件を付けることで、派遣契約解除による損失を回避できます。
今回は、派遣先従業員による嘘の交際の言いふらしが発端になっていますが、この行為は性的関心に基づく言動で誰しも不快に感じることであり、男女雇用機会均等法が禁じるセクハラ行為です。セクハラにあった派遣労働者は、派遣先が保護する必要があります。通告を受けた派遣元担当者は派遣先に是正措置を求めるべきでした。対応せず、派遣を終了させて、次の職場を紹介しない派遣元の対応には問題があります。労働基準監督署に相談するのがよいでしょう。
【プロフィール】
竹下正己/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。射手座・B型。
※女性セブン2023年6月1日号