急落局面はあったもののポンド以外は一時的な下落にすぎず、ダラダラと下げては戻す方向感のない横ばい相場に戻っている。
11月の「トランプ・ショック」で乱高下する局面もあったが、1年を通して見ると、金融ショックというほどのものはなかった気がしている。
振り返ってみれば、ドイツ銀行の信用不安や中国経済の不振などの「火種」を抱えながらも、深刻な金融危機というほどの局面は訪れなかった。結局は「相場が動きたがらなかった」ということなのかもしれない。
上か下かにかかわらず、相場には「行きたがっている方向」があり、様々なリスク要因はその方向へのスタートを切る号令にすぎない、と羊飼いは考えている。
2016年にはその引き金になってもおかしくないイベントは複数あったものの、まだ相場が大きく動き始める時期ではなかったのだろう。
リーマン・ショックからの回復局面を謳歌する「幸福の絶頂期」は終わったものの、世界の金融市場はまだその余韻に浸っている状態だといっていい。2016年にはこの幸せな時もいよいよ終わりそうだと不安視されてはいたが、実際には終わることなく続いていたのだ。
しかし、2016年相場の重しになっていた大統領選を通過し、12月のFOMC(連邦公開市場委員会)が終わったことで、相場はいよいよ溜め込んできたエネルギーを放出する局面へと転換することは十分あり得る。
※マネーポスト2017年新春号