9月に金融緩和の中心を「量」から「金利の調節」へと変更する新しい枠組みを発表したが、株式市場の反応は鈍く、日銀にはもう切れるカードがなくなっている。
もちろん、黒田東彦総裁がテーパリングを明言することはないだろうが、実質的にもう手詰まりと市場が判断するようなことがあれば、相場は大荒れどころでは済まない。
まさに「逆アベノミクス」とでもいうような、深刻な巻き戻しが起こることも想定される。
日本と同様に金融緩和を続けているEUも同じ問題を抱えている。こちらはすでにテーパリングの観測報道が出ており、より現実味を帯びてきている。
アメリカの株式市場も不安材料となり得る。ダウ平均株価はリーマン・ショック以降順調に回復し2016年は史上最高値を更新するなど、7年以上にわたり上昇を続けてきた。
しかし、どんなマーケットも永遠に上がり続けることはなく、上昇幅が大きいほど調整局面での下落幅も大きくなるもので、ダウ平均とて例外ではないだろう。
ここ数年、ダウ平均と米ドル/円相場は独自の値動きをすることが多く相関性は必ずしも高くはないが、ダウ平均に大きな調整が起これば当然為替市場は引きずられ、世界的なリスクオフ局面が訪れる可能性は高い。
※マネーポスト2017年新春号