昨今、海外ブランドのバイクの日本進出が続いている。その一つが、イギリス発祥で現在はインドに本拠がある「ロイヤルエンフィールド」だ。ハーレーやトライアンフ、BMWにドゥカティといった有名輸入バイクではないが、街ですれ違うロイヤルエンフィールドのバイクは、ファッショナブルで街の風景に溶け込んでいる。シリーズ「快適クルマ生活 乗ってみた、使ってみた」、自動車ライターの佐藤篤司氏が試乗してレポートする。
「中型クラス」が人気を支える
ロイヤルエンフィールドと言えば、今でこそインドの自動車メーカー、アイシャー・グループに属していますが、イギリスでは1901年にバイクの製造を開始しており(自転車製造などはさらに古くから)、現存するバイクブランドとして世界最古とも言われる存在です。世界に冠たる日本の4大バイクブランドよりも歴史があります。
1955年に生産の拠点がインドへ移され、1971年にイギリスの本社倒産以後もその生産は続けられ、現在は商用車製造の大手であるアイシャー・グループの一員として成長してきたメーカーです。近年は2017年に英国レスターシャー州レスターにテクニカルセンターが、2019年にはインド南西部の工業都市チェンナイにインドでのテクニカルセンターがオープン。これによって新型車の開発スピードがさらに高まり、品質と性能を高めて現在に至っているのです。当然、その長い歴史の中で多くの名車を世に送り出し、ブランド力を確固たるものとしています。
そして2021年3月、飛躍的な成長を遂げてきたロイヤルエンフィールドが日本初となるブランドショールームを東京都杉並区に開設。現在では正規販売店が全国に20店舗ほどあります。2023年にはJAIA(日本自動車輸入組合)に加盟し、いきなり1月の1か月に106台を販売し輸入車ブランド4位の座を獲得するほどの支持を得ました。毎年、神奈川県大磯で行われているメディア向けのJAIA2輪試乗会にも出展され、試乗や撮影で人気となっていました。その中心にあったのがハンター350、メテオ350、クラシック350といった中型ライセンスでも乗れるモデル。実際の販売を支えているのもこの中型クラスということになります。
ライバルとなるホンダGB350やヤマハSR400といったクラシカルの雰囲気を活かした→が魅力のネイキッドバイクが人気を集めながらも、在庫が品薄であり供給が思うようにいかないという状況も売れ行きに寄与しているはずです。メーカーによれば今年1、2月の販売台数は、強力な輸入車ブランドが揃う中で5位といったポジションにあるそうです。若者たちをはじめ、クラシカルな雰囲気のバイクをファッションアイテムのように考えるライダーも多く、歴史ある英国ブランド、ロイヤルエンフィールドの人気を支えているのです。