投資信託に設定されているベンチマーク。運用成果の目安としている指標だが、投資信託を選ぶ際は、ベンチマークについてしっかり確認しておくべきポイントがある。『世界一楽しい!会社四季報の読み方』などの著書がある個人投資家で株式投資講師・藤川里絵さんが解説するシリーズ「さあ、投資を始めよう!」。第45回は、「投資信託のベンチマーク」について。
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投資信託には、ベンチマークが設定されていることがよくあります。ベンチマークというのは、投資信託が運用成果の目安としている指標のこと。インデックス投信では、ベンチマークとされる指標との連動を目指し、アクティブ投信では、ベンチマークを上回る成果を目指すのが一般的です。ところがこのベンチマーク、もしかしたら正しく提示されていないかもしれません。どういうことなのか、これから解説します。
ベンチマークには2種類ある
多くの投資信託のベンチマークとされる日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)などの株価指数には、配当抜きと配当込みの2種類があります。一般的にわたしたちが目にするのは配当抜きの指数で、その指数に組み込まれている銘柄の株価の変動だけを反映しています。一方、配当込みの指数は、株価の変動に対象銘柄の配当金も加えています。当然、配当込みのほうが、配当抜きよりパフォーマンスはよくなります。たとえば、直近で日経平均株価がバブル後の高値を超え、3万1000円台を回復したことで浮き足立っていますが、配当込みの指数では、すでに5万3000円を超えています。
同じ指数をベンチマークにしている投資信託でも、そのベンチマークが、配当込みなのか、配当抜きなのかで、投資信託が目指す成績も違ってきます。当然、配当込みをベンチマークとしている投資信託のほうが“志が高い”と言えます。