開発は「桃の天然水」を意識したのか
まず、「桃天」を知っているかという問いに対しては、桜井さんは「もちろん!」と言うが、同商品は「桃天を意識したわけではない」という。
「意識したのは、手軽で効率的に栄養を摂れるという世の中の潮流です。それを日常的に口にする飲料で提案できないかと思ったのが出発点です」(桜井さん、以下「」内同)
かけた時間に対してどれほどの効果が得られるか、という時間対効果を表す「タイパ」が意識されたちな現代。「天然水ファイバー8000」も、元々は栄養機能ウォーターとして商品開発されたというわけだ。飲料で栄養を摂取するという発想自体は珍しくないが、同社は「水の飲み方」に着目した。
「中味を作るR&D(研究開発)部門に話を聞くと、一気に飲むような飲料では、せっかく栄養を摂取しても、尿や汗で外に排出されやすい。水みたいにちびちび飲む、点滴のように体に入れられるものの方が理想的だと。それには水で手軽に栄養素が摂取できるものを作りたいと思いました」
「機能性ありき」ではない
続いて同社は、消費者がどんな栄養素を求めているのか調査した。そのうえで、味をつけるかどうかも検討を重ねたという。
「弊社で調査をしたところ、需要が多かったのはビタミンの次に食物繊維でした。食物繊維がほしい理由として、お通じを改善してくれる効果を実感しやすいという声もありました。
フレーバーをつけるかどうかも調査しました。健康意識が高く、水を普段から飲んでいる人からは、『無味無臭がいい』という声も出ていました。でも、水のままだと、なんだかストイックすぎて、手に取りにくいという意見もある。社内でも議論を重ね、『機能性ありき』ではなく、『おいしい飲み物に、“ちゃっかり”栄養素が含まれている』というスタンスがいいのではないか、という結論になりました」
実際、日本人は食物繊維が不足しているというデータもある。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、食物繊維の接種目標量を、18~64歳では1日あたり男性21g以上、女性18g以上としている。だが、同省の「令和元年 国民健康・栄養調査報告」を見ると、目標量に達しているのは60歳以上の女性(60代19.1g、70歳以上19.5g)のみ。特に10代から40代は摂取量が低い傾向にあり、中でも20代女性は14.0gと全年代で最も低かった。
「『天然水ファイバー8000』は、“食物繊維1日分”ではなく、“1日不足分”です。あくまでも普段の食事から摂取できていていない量を補うイメージです」