なぜ「桃味」だったのか
では、味を考えるうえで、なぜ「桃」が採用されたのか。
「果物と、それから想起する栄養素には“イメージ”があります。例えば、レモン味だとビタミンをイメージしやすいですよね。食物繊維についてヒアリングしたところ、そもそも桃に繊維感が感じられるため、食物繊維のイメージと違和感がないという回答が多く寄せられました。
また、食物繊維自体には、やや甘みがあるんです。食物繊維を入れようとすると、絶対に少し“味”がつくんですね。その甘みを消して無理やり無味にするのではなく、活かすことを考えたとき、桃の甘さが絶妙にマッチングしたのも決め手でした。先ほども申し上げた通り、大前提として『おいしい』ものを作りたいので、結果的に桃味になった、という感じなんです」
天然水ブランドでは珍しい、キャッチーな「ファイバー8000」という名前にも想いがある。
「水って基本“つまらない”じゃないですか(笑)。そこで、エンタメ要素の強い展開を目指しました。まず、ネーミングにうれしさと楽しさを込めました。また、私たちは社内で“ちゃっかり”という言葉をよく使うのですが、“ちゃっかり一石二鳥、食物繊維が摂れてラッキー”といった感じを出すために、まずはサントリー天然水のパッケージを基本にしたうえで、上半分は桃、下半分にはシルバー色を敷き、大きく『ファイバー8000』と打ち出しました。
これまでにない天然水のイメージに、事前調査では『戦隊モノみたい』と驚く声もいただいたのですが、実はそれがウェブ動画『怪獣バイアフー襲来』篇のヒーロー設定につながりました」
ちなみに「バイアフー」は、「ファイバー」を逆さにしたネーミングとのこと。随所に遊び心を散りばめながら、その背景には徹底した事前調査とともに、「おいしく楽しく日々を過ごしてほしい」という、飲料メーカーとしての矜持があった。(了)