【2】半値戻しは全値戻し
「半値戻しは全値戻し」という相場格言があります。ある一定期間における高値から安値を取り、再び上昇に転換したのちに50%以上の戻し(半値戻し)を達成できたなら、いずれは以前の高値まで上昇する(全値戻し)可能性が高い、という意味です。
S&P500では、2022年1月4日のザラ場高値と2022年10月13日のザラ場安値で測った場合の上昇率が、原稿執筆現在ですでに50%を優に超えています。
NASDAQ指数においては、2021年11月22日のザラ場高値と2022年10月13日のザラ場安値で測った場合の上昇率が6月2日に50%を超えてきました。もちろん50%戻しを達成したら、すぐに全値戻すわけではないため、今後も一時的な調整には警戒が必要にはなりますが、長期的には更なる高値更新を意識する投資家も増えると予想されます。
【3】年後半に利上げが止まる可能性
直近の経済指標を見る限り、高止まりするインフレ率や、予想以上に強い雇用から、利上げの継続が意識されているように思います。
FOMC(連邦公開市場委員会)における金利予想を毎日更新している「Fed Watchツール」によれば、7月のFOMC時における政策金利が、今よりも高くなる予想の合計が67.4%となっています(6月5日時点)。一部では6月に利上げが停止されるという見方もありますが、7月にはさらに利上げが行われる可能性が高いと、市場では予想されています。
では、利上げが続く見込みでありながらも株価が上昇を続けている理由は何でしょうか。すでに政策金利は5%を超えており、無事にインフレが収まれば、最終的には利上げ停止へ向かい、仮に景気後退となったとしても政策転換で利下げできる余地は大きい。つまり、利上げによる急激な景気後退(ハードランディング)を回避できるという見方が強まっているということです。特にGAFAMのような明らかに強みを持っている主要の業績見通しが今より悪化するリスクは低くなっているように感じます。
「強気相場に転換」への期待
もちろん、株式市場で「絶対株価が上がる」などと言い切ることはできませんし、予想は常に変わっていきます。想定もできないような新たなリスクが発生する可能性もあるため、過度に楽観視することは危険です。それでも、現在市場が置かれている状況を正しく認識しておく必要性は高いと考えています。
米国の主要株価指数であるS&P500とNASDAQにおいて、底値から20%以上の上昇と半値戻し達成を6月2日の週に達成できたという事実から、強気相場への転換の期待がより高まっています。