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「あげた側」が亡くなった後に発覚しやすい“贈与税”の申告漏れ 失敗例から学ぶ賢い生前贈与のやり方

忘れてはいけない「贈与契約書」

忘れてはいけない「贈与契約書」

毎年同じ日に同じ金額だと「定期贈与」の指摘も

 栃木県の主婦・Mさん(35才)がこぼす。

「5年前から毎年、誕生日に親から100万円ずつ受け取っていました。年110万円以下なら贈与税はないはずですよね? でも先日“5年分の500万円の定期贈与に対する贈与税を払ってください”と言われたんです。『定期贈与』なんて、聞いたこともありません」

 税理士法人ベリーベストの税理士が解説する。

「ある一定の期間、定期的に贈与が行われた場合“その期間の初年度に、合計金額分の贈与を受ける権利を受け取った”と見なされると『定期贈与』と呼ばれ、課税対象になります。毎年同じ日に同じ金額で贈与するなど、通帳に法則性や反復性があると定期贈与と指摘されるケースもあるので、贈与する日付も金額もバラバラにしておくのが賢明です。

 また、贈与したら本人にすぐに知らせることも大切。例えば祖父母が孫名義の預金口座をつくり、毎年110万円以内を入金していた場合、ある程度貯まったタイミングで孫にその口座のことを伝えると、その時点で口座の預金残高全額を贈与したことになり、課税対象になります」

 課税されるならまだいいが「税逃れ」と見なされてしまうケースもある。例えば親が子に贈与した場合、その通帳と印鑑を親が管理していると「名義預金」、つまり「税逃れ」と判断されてしまうことも。未成年の子なら問題はないが、贈与を受けている子が18才になって成人したら、すぐに本人に通帳や印鑑を渡し、自分で管理させるべきだ。

 また、名義預金を疑われていらぬ課税をされないために、「贈与契約書」を作成するといい。面倒だが、毎年行う暦年贈与でも、贈与が発生するたびに契約書をつくり、贈与する側とされる側がそれぞれ1部ずつ保管しておくのがベスト。

「金額、日付だけでなく、贈与する人とされる人、両方の手書きのサインと押印が必要です。サイン以外はパソコンなどでつくってもいいですが、署名だけは手書きでなければ無効です。また、日付を偽装すると文書偽造行為に当たる。インクの乾き具合や紙の日焼け具合まで厳しくチェックされるので、ごまかすのはほぼ不可能です。悪質な偽造と判断されれば、場合によっては40%もの重加算税が課せられます」(橘さん)

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