「史上最高の値がつきました」
それから10年の時が過ぎた1999年。もう金丸社長の会社に出資していたことすら忘れかけていた頃、森山氏の自宅を証券会社の若い担当者が訪れたのだという。
「ある日、妻のもとに大和証券の若い営業マンが訪ねてきたんですよ。そこで『ご主人が持っておられる株が上場することになりました』と言われた。妻は『いやそれは、森山は森山でも、違う森山やないですか? 近くに森山組という建設会社があるから、そちらじゃないですか』と聞き返したそうです(笑)。その後、また大和証券から電話をいただいて、『ひょっとしたら店頭(公開)で良い値がつくかもしれません』と言われて、びっくりした。
その時は、(1株)500万~600万円はくらいつくんじゃないかと言われました。ということは40株あるから、大変なことになるなと。さらに、『外国の買いが入っているようなんですよ』って話もあった。で、いざ上場の日にまた営業マンから電話がきたもんですから、私はてっきり値が付かなかったんじゃないかと思いました。そしたら『いやぁ、史上最高の値がつきました』って、(ジャスダック)上場の初値が3350万円だったんですよ。40株で12億円以上ってことなりますね。ほんとにこっちもびっくりしましたよ(笑)」(森山氏)
一夜にして巨額の資産を手にした森山氏。その後もフューチャーは右肩上がりの成長を続け、2002年には東証一部に上場(現在は東証プライム市場)。その後、何度かの株式分割を経て現在、森山氏は時価約20億円となる約116万株を保有するまでになった。近年は毎年、配当収入だけで数千万円を得ているが、そうした収入が森山氏の議員生活を支えているのだという。
「私は投資にはあまり興味はないけど、こういう収入があるからというのもあって、もう48年政治活動をしてますけど、1回も個人の政治資金パーティをしたことがないんです。こういう収入でなんとかかんとか回っているんですよ」(森山氏)
最後に森山氏は今回の朝日新聞の報道について、「報告書に記載がないのはルールに従っているだけ。ルールが変われば記載しますよ」と話した。知り合いの息子の起業を諦めさせるはずが、かえって説得されて起業資金を提供した――そんな思いがけないやり取りが30年後の今、巨額の資産へとつながっているというのは、なんとも不思議な巡り合わせである。(了)