公募買いの初値売り戦略は今年も有効
14年のIPO件数は77件だったが、その全銘柄で上場後についた初値が公募価格を上回れば「勝ち」、下回れば「負け」、同値なら「分け」という基準で見ると、59勝15 敗3分けという結果だった(下表参照)。
13年のIPO全銘柄(54件)のそれは52勝1敗1分けだったことからすると、勝率は下降傾向にある。
さらに、初値が公募価格に対して何%上昇したかという「初値騰落率」を見ても、平均初値騰落率が121%だった13年に比べて、14年の平均初値騰落率は90%と前年を下回った。それでも90%といえば、公募価格で手に入れて初値で売り抜ければ投資金額の倍近い儲けが出たということで、まだまだ高い数字である。
このことから、今年もIPO株は、公募で買って初値で売り抜ける戦略が有効だと思われる。
IPOする銘柄のブックビルディングにかたっぱしから参加し、公募価格での取得にチャレンジしてみる。その結果、公募価格で手に入れることができれば、儲かる可能性が高いといえそうだ。
そうはいっても実際に公募価格で取得できるかどうかは運次第であることは否定できない。だが、公募で手に入れることができなかったとしても、利益を得られる可能性が高い戦略が実はある。
上場全銘柄の値動きを見ると、株価が前日比で10%変動するケスはほとんど見られない。ところが、14年にIPOした全銘柄について、上場日における初値と同日につけた高値の騰落率を見ると、ビーロットの28.6%を筆頭に7銘柄が20%を超えており、全銘柄の平均値は8.3%となっている。
つまり、IPO株は上場日に初値で買って、その日のうちに売り抜ければ、キャピタルゲインが得られる可能性が高いということだ。この戦略は一般の投資家にとっては難しいかもしれないが、デイトレーダーなら一考の価値はある。
2009~2014年のIPO件数、勝敗、初値騰落率の推移
勝敗 | 勝率 | 初値騰落率(平均) | |
2009年 | 13勝 4敗 2分け | 68.40% | 35% |
2010年 | 10勝 9敗 3分け | 45.40% | 24% |
2011年 | 19勝 14敗 3分け | 52.70% | 22% |
2012年 | 37勝 9敗 | 80.40% | 49% |
2013年 | 52勝 1敗 1分け | 96.26% | 121% |
2014年 | 59勝 15敗 3分け | 76.62% | 76.62% |
※「勝敗」は、上場後についた初値が公募価格を上回れば「勝ち」、下回れば「負け」、同値なら「分け」とする。「初値騰落率」は、上場初値が公募価格に対して何%上昇したかを示す。