6月末、スイスに本拠地を置く世界経済フォーラムが「グローバル・ジェンダー・ギャップ・レポート2023」を発表した。男女平等の度合いを示すもので、日本は146か国中125位で、2022年の116位からさらに順位を落として過去最低を記録した。
とりわけ深刻なのは、政治分野で、順位は138位と世界最低レベル。その大きな要因は女性の国会議員の少なさで、衆議院における国会議員の女性比率はわずか10.3%にとどまる。
「史上最多の当選数」でも比率はわずか14%
ジェンダーギャップ指数で上位に名を連ねる国も、1970年代は日本と同じような女性議員比率だった。しかし北欧やドイツは1980年代半ばから、候補者や議席の一定割合を男女に割り当てる「クオータ制」を導入し、一気に女性議員の比率が向上。イギリスやフランスもクオータ制や、候補者名簿を男女同数にする「パリテ法」の導入などで女性議員比率が軒並みアップ。日本が足踏みする間に世界はどんどん進化、その差は開く一方だ。
日本でも少しずつ芽は出てきている。女性と政治に詳しいジャーナリストの大門小百合さんが語る。
「若い女性たちが、議員比率を50%まで高めるために立ち上げた『FIFTYS PROJECT』というプロジェクトは、SNSなどで立候補を予定する女性を紹介し、政党を問わず応援しています。女性議員に注目する記事なども少しずつ増えています」
そうした地道な活動が実を結んだのか、今年4月の統一地方選で、道府県議選で当選した女性議員は過去最多の316人に達した。東京23区の区長は6人が女性となり、市長では全国で7人の女性が当選。これは社会変容が生んだ、着実な成果だと自民党の鈴木貴子衆議院議員は分析する。
「初の女性首長や、その地域で初めての女性議員も誕生しました。自らマイクを持ち、自分の言葉で語る女性が民主主義のプロセスのなかで、地域の有権者の理解を得た印象です。少し前だと高学歴でキャリアを積んでいる女性に対して周りが一歩引いてしまうような空気がありましたが、多様な生き方を経たユニークな経歴を持った女性が政治を選ぶケースも増えてきた。有権者も驚きと期待をもって受け入れているのだと感じます」