映画を「平日割引」で見られる
こうした工夫の甲斐もあってか、取得率は97%に上ったという。さらに社員からはこんな反響があったそうだ。
「会社休日であり、休む理由を問うことはないので、すべてを把握できているわけではないですが、『これまでできていなかったことや新たなチャレンジが可能になった』という声をよく聞きます。例えば、平日の授業参観や入学式など、今まで出られなかった家族のイベントに参加するといった声や『副業・兼業』『大学院での学び直し』を始めた人もいました。ほかには、『好きな映画を平日割引で何度も見に行けた』などの声もありました」(蝦名氏)
さらに会社側にとっても“嬉しい誤算”があったという。
「フレキシブル休日の導入により、年間で働く日が減少するため、1日あたりの労働時間が増加するのではないかと心配していました。たしかに1日あたりの労働時間は増加しましたが、年間の総労働時間は約30時間(導入前の2020年度と2022年度を比較)減りました。結果的に、生産性が上がったということです」(蝦名氏)
週休3日制ではないが、日立製作所は今年1月、「1日の最低勤務時間の廃止」を導入した。日立製作所の広報担当者が言う。
「1日の最低勤務時間を撤廃し、主体的に始終業時刻を選択すること、および会社の就業日を『非就業日』とすることを可能とするものです。単に休日を増やす制度ではなく勤務時間がゼロの日を設定することも可能ということです。その場合は、そのぶんの時間(1日7時間45分)を別の日の勤務時間に充てることができ、結果として週休3日などの働き方も可能な制度です。社内サーベイで利用者にメリットを確認したところ、『メリハリある勤務の実現』『育児と介護を両立できる』『学習する機会を確保できる』などポジティブな反響があった」
まだ制度の導入は過渡期だが、日本を代表する大企業では「週休3日」という働き方が着実に根付き始めているようだ。(了)