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「子供に見せるものじゃない」と左官職人はあわててシャツを羽織った 60代女性記者が考えるタトゥーと入れ墨

 それからなんとなく足が遠のいて、半年くらいたったかしら。マスターが病死したの。しばらく前から時々咳き込んでいたけど、まさか死ぬとは……。聞いたときは驚いて商店街の真ん中にしゃがみこんだっけ。

 しかし、こういうのを老婆心というのかね。「タトゥー」と言おうが「入れ墨」と言おうが、若く張りのある肌が永遠に続くと思っているからできることで、青いシワになる日が来るなんて思いもしない人がすることなんだよね。

 もっともそれはみんなそう。老いる自分を20代、30代からピンと来る人はいないんだって。とはいえ、もう一度生まれ変わってマスターの“背中”をいっしょに背負えるかというとムリ。老いたタトゥーは悲しすぎるもの。

【プロフィール】
「オバ記者」こと野原広子/1957年、茨城県生まれ。空中ブランコ、富士登山など、体験取材を得意とする。

※女性セブン2023年8月17・24日号

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