馬場さんの印象は薄い
井上:失礼を承知で申し上げると、維新というと吉村府知事の印象が強くて、世間では馬場さんの印象は薄く、人気もないような気がします。
馬場:そうですね。僕は維新の代表選挙の時に、「野球で言えば、8番キャッチャーみたいな存在です」と自己紹介していました。橋下(徹)さんや松井(一郎)さん、吉村さんとかはエースで4番とか、3番サードとか花形のイメージじゃないですか。僕には華やかさはありませんが、亀のように地道に歩いてきたから、足をすくわれないし、選挙には絶対負けない。僕みたいな人間が無理して知名度を上げようとすると、ろくなことにならないから、自分は自分らしくやります。
井上:若くて華がある人たちを前面に立てて、馬場さんは縁の下の力持ちというか、監督のような立場で采配しているというイメージですね。
馬場:だから、8番キャッチャーなんです。守備の時、一人だけスコアボードのほうを向いて、全体を見渡して指示する。
打順が4番だと5試合に1本くらいホームラン打たないとダメですが、8番だと誰も期待していないから、月に1本打てば、凄い凄いって褒められる。そういうカラクリ(笑)。
井上:しかし、もし自民党から政権を奪えば、党の代表は総理大臣になりますよね。
馬場:先ほども申し上げたように、10年くらいかけて政権を担える力を備え、いよいよその時になったら、その時の代表が総理の指名を受けると。何がなんでも自分が総理になるというつもりはありません。ただ、今、代表をしている以上、総理目指してやりますと言わんとね。
井上:でも、政治家になったからには、総理大臣をやってみたいという気持ちはありますよね。
馬場:それはね。28歳の時に初めて市議会議員の選挙に出て、支援者の皆さんと一緒に万歳やって、これだけ多くの人が一生懸命応援してくれたと思った時に、カチッとスイッチが入った。支援者の皆さんへの挨拶で、「かくなる上は内閣総理大臣を目指します」と言ったら、「えー、無理、無理」「調子に乗ったらあかんよ」と、たしなめられましたが(笑)。だけど、当時からの支援者と会うと、「あの時アホちゃうかと思ったけど、だんだん近づいてるよな」と言ってもらえるのは嬉しいですね。
(了。前編から読む)
【プロフィール】
馬場伸幸(ばば・のぶゆき)/1965年、大阪府出身。大阪府立鳳高校卒業後、「オージー・ロイヤル」でコックとして勤務。1986年から中山太郎・元外務大臣の秘書を務める。1993年、堺市議会議員補欠選挙で初当選。20年間堺市議会議員を務めた後、2012年、衆議院議員として初当選。その後日本維新の会幹事長、共同代表などを歴任。
井上咲楽(いのうえ・さくら)/1999年、栃木県出身。栃木県立茂木高校卒業後、2015年、第40回ホリプロタレントスカウトキャラバンで特別賞を受賞し、芸能界デビュー。『Live選挙サンデー』、『めざまし8』(いずれもフジテレビ系)などでコメンテーターを務めた。現在は『真相報道 バンキシャ!』(日本テレビ系)に出演中。「選挙ウォッチャー」としても活動している。
※週刊ポスト2023年8月18・25日号