それでも導入する背景には財務省の“悪だくみ”がある。経済ジャーナリストの荻原博子氏は真の狙いをこう指摘する。
「現在の制度でも消費税の複数税率に対応できており、何も困っていない。インボイスは本来必要のない制度です。しかも、企業も役所も事務作業とその人件費が増えて損するばかり。政治家にとっても批判を浴びていいことはないはずです。
なのにあえて導入するのは消費税増税への布石です。税率をいっぺんに上げると言えば批判が強いが、たとえば食品など生活必需品の税率は据え置き、外食は15%、自動車などは20%というように税率を多段階にするやり方なら上げやすい。いまのうちにインボイスを導入しておけば、そうした引き上げがすぐにできるようになるというわけです」
消費増税準備のために国民生活を大混乱させる制度を始めるなら、この政権はもう終わったほうがいい。
※週刊ポスト2023年9月8日号