子供の学びの基本として「読み書きそろばん」という言葉があるように、かつては必須の存在だった「そろばん」。電卓はもとより、PCやスマホが普及した現代の日常生活においてその存在感は薄くなったが、子供の習い事としては根強い人気がある。
では、かつてそろばんを習っていた人たちは、大人になってもその計算能力は衰えないのか、役立つことはあるのか。そろばんを習っていた人、“達人”を見たことがあるという人たちに話を聞いた。
スーパーで商品の合計金額を正確に暗算
そろばん教室の数が全国でも多いことで知られる愛知県で生まれ育った50代女性・Aさん(マスコミ勤務)。小学校2年生から6年生まで習っていた。
「九九は学校より先にそろばん教室で覚えました。ゲームのようで楽しかったですね。1年に1回、遠足みたいに教室のみんなで長島スパーランドへ遊びに行くのも楽しかったです。
学校でも、クラスの3分の1くらいはそろばんを習っていましたよ。中学に上がる前に辞めたのは、そもそもそろばんは小学生の間の習い事というイメージだったからです。それ以上続けるのは、達人クラスを目指すようなタイプだった印象です」
小学校時代に習っていたそろばんだが、いまでも役に立っていると実感することがあるという。
「単純な四則計算、例えば買い物の時なんかだと、なんとなくそろばん教室で習った暗算のやり方で計算していますね。かごに入れた商品の合計がいくらか、計算しながら買い物ができる。最近は自動で釣銭が出てくるタイプのレジが多いので、お釣りを間違われることはないですけど、昔は店員さんにお釣りの間違いを指摘したこともありました」(Aさん)