「配当利回り」だけ見るのはダメ
投資の世界ではこうした累進配当を続ける企業を「配当貴族」と呼ぶ。米国では配当貴族銘柄をまとめた指数もあり、S&P500(米国を代表する500社の株価指数)の構成銘柄のうち25年以上連続して増配している優良大型株のパフォーマンスを評価する「S&P500配当貴族指数」がよく知られている。
今回は日本版「配当貴族」と期待できる銘柄をプロ3人が厳選、別表にまとめた。こうした銘柄の配当で暮らしを豊かにする「配当貴族生活」を目指したい。
前出・戸松氏は累進配当の銘柄を選ぶ際の注意点として、「配当利回りの高さだけに目を奪われてはいけない」と語る。
「利回りが高いに越したことはないが、目先の数字にとらわれるのではなく、長期的に配当が増えていくことに目を向けてほしい。そのためには、増収増益基調で業績がしっかりしていて、かつ独自の強みを持つ企業に注目すべきです」
戸松氏が選んだ銘柄は、独自の強みで高いシェアを誇る企業が多い。
「橋梁最大手で大型工事に圧倒的な強みを持つ横河ブリッジホールディングス、広告・看板用インクジェットプリンターで世界トップのローランド ディー.ジー.、技術者派遣で9期連続増収増益を達成しているアルトナーなどは、今後も持続的な増配が見込めます」
横河ブリッジは、7月末に配当方針を「安定配当(減配が少ない)」から「累進配当」に変更すると発表。積極的な配当政策を打ち出したことで、株価も上昇基調となっている。
カブ知恵代表の藤井英敏氏は、現時点での配当利回りは高くないが、「ドン・キホーテ」を展開するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスに注目する。
「インバウンド需要が回復し、グアムなど海外展開も積極的に進め、アフターコロナ関連銘柄の筆頭格。増配を続けていく姿勢も鮮明です」
前出・岡山氏は、代表的な「累進配当」銘柄として金融関連を挙げる。
「三菱UFJフィナンシャル・グループは株主還元の充実に努め、配当利回りが高いのに割安なのが魅力。地銀でも山陰合同銀行は要注目。金融業務を多角展開するオリックスは株主優待の充実なども評価したい」