V逸となると商品はすべてゴミの山
その岡田監督のもと、このまま順調にマジックを減らしていければ9月中旬には18年ぶりのリーグ優勝が決まりそうだが、球団関係者の間では「一度、マジックが消滅した時は、2008年のV逸が脳裏をかすめた」という話も。
2008年は2位の巨人に最大13ゲーム差をつけ、117試合消化時点(9月6日)で貯金24。マジック22で巨人とのゲーム差は4.5あった。巨人は9月に阪神戦3連勝を含む12連勝で首位に並び、10月8日の巨人戦に敗れた阪神は141試合目で2位に転落。まさかのV逸となった。こういうことが起きると、グッズ製造業者などへの影響も非常に大きい。グッズ製造に携わる関係者はこう話す。
「マジックが出た段階で、球団は数十点を超える優勝グッズの企画を進めるわけです。特にキャップのような刺繍などがあって製作に時間がかかるグッズは、早い段階で見切り発車しなければならない。それゆえ、他球団に逆転されてV逸となると商品はすべてゴミの山となります。
2008年の時は優勝記念のキャップ、タオル、Tシャツ、シールなどが製品化されていました。優勝グッズを発注した阪神阪急百貨店が、製造した下請け業者への支払いを減額して公正取引委員会から勧告を受けるという笑えない状況も生まれた。年が明けた頃には“幻の優勝グッズ”としてネットで流通したものもあったが、グッズに関係した大半の業者が損害を被った苦い記憶です」
優勝した時の盛り上がり大きいだけに、目前で逃せば冷や水を浴びせられることになるわけだ。今後について、球団関係者はこう話す。
「2位広島との直接対決が7試合も残っていることは不安といえば不安です。あと、リーグ優勝はできたとして、クライマックスシリーズがどうなるかの懸念もある。岡田監督は、短期決戦で実績を残せていない。2007年は0勝2敗、2008年も1勝2敗と、ともにファーストステージで中日に敗れた。優勝した2005年はクライマックスシリーズがなかったが、日本シリーズでロッテに4連敗している。逆転優勝されたらお話にならないが、クライマックスシリーズでの敗退もファンのテンションを下げ、関連グッズの売り上げにも影響するでしょう」
関係者が固唾をのんで岡田阪神の戦いぶりを見つめる“熱い夏”は、まだしばらく続きそうだ。(了)