柳井氏は2002年に玉塚氏に社長の座を譲ったが、業績が上向かなかったことを理由に2005年に更迭し、会長兼務で社長に返り咲いた。この“玉塚ショック”以降、柳井氏は実権を手放していない。
柳井氏の長男の一海氏(49)と次男の康治氏(46)はともにファストリ取締役を務め、いずれ世襲するのではないかとの見立てもある。
「しかし、柳井氏はことあるごとに世襲を否定し、息子2人を社長にしない方針を表明してきた。ユニクロはファストリの売上高の8割超を占める中核事業であり、塚越氏は若くしてその経営を託された。ファストリ本体の社長候補のひとりとなったことは間違いない」(前出・全国紙経済部記者)
塚越氏の社長就任にあたってファストリは、「次世代のチーム経営体制強化の一環」と世代交代をアピールする。
(後編に続く)
※週刊ポスト2023年9月29日号