自宅に住み続けるために準備しておくべきこと
妻に先立たれたうえに人付き合いが減れば「引きこもり」になる可能性があり、心身の健康が損なわれるリスクも高まる。お金の面でも、かえって「負担増」になる懸念がある。
「マンションに買い換えた場合は駐車場代や管理費などのランニングコストが新たに発生します。特に中古マンションは大規模修繕の積立金が不足するケースが増えており、引っ越し後、管理組合から急に『修繕積立金が倍になりました』と言われることもあります」
生活面でも、不慣れな環境下での家事を強いられることになる。
「買い物ではどこで何を買えばいいか分からず、戸惑うこともあるでしょう。炊事や洗濯などこれまで妻に任せていた家事を自分でするにも、住み慣れた場所のほうがストレスは少ないはずです」
自宅に住み続けるために、妻の生前にしておくべきことは何か。
「自宅が2階建てなら、将来足腰が弱くなっても1階で生活が完結できるようダウンサイジングのリフォームをすること。一番負担の大きい庭の草むしりをしなくて済むよう処理しておくことも大切です。また、体力や金銭面の余裕があるうちに家電を新しく便利なものに買い換えることでも負担を軽減できるはずです」
妻も自分も元気なうちに先手を打つことで、現在の生活も楽になる。住み慣れた我が家を一生の住処にできるかは、自分の付き合い方次第だ。
※週刊ポスト2023年10月27日・11月3日号