気になるのは【7】である。
昨今、中国では保険会社による株式大量保有に関して、親会社が買収や株価操作の道具として使うといった事件が発生している。保険会社に対する株式運用規制が緩和され、自由化が進む最中でこのような事件が発生したため、一旦保険資金の市場への参入の勢いは止まる可能性がある。
証券会社にも問題がある。あくまで社員(国海証券)の不祥事ではあるが、社印を偽造し、大きなレバレッジをかけた上での債券取引を行ったことが発覚した。しかし、これは特定の証券会社による不祥事というよりも、現先取引を使って大きなレバレッジをかけて行われる国債取引が横行しているという事実が改めて浮き彫りにされたことに重大な意味がある。
証券会社においては、2014年後半から2015年前半にかけての大相場で、当局が監督管理を強化したにもかかわらず、リスク管理を怠り、顧客に対する信用取引を急拡大させてしまったといった経緯もある。
銀行はいくら当局が監督管理を厳しくしようとも、相変わらず理財商品で荒稼ぎしようといった動きが止まらない。理財商品とは投資信託商品である。金利の自由化に加え、景気低迷による資金需要の鈍化、インベストメントバンカーとしての技量の不足などから、中堅以下の銀行では経営環境が厳しくなっている。
そうした中で、一部の銀行は安易な高利回り商品を開発、手数料ビジネスを拡大させようとしている。高利回りの追求は高リスクの運用を増やすことになる。不動産業者向けの貸出や与信能力の低い住宅購入希望者に対してリスクを度外視した貸出を行ったり、現先を使った国債取引や、短期的な利益を追求するような株式投機を行っている機関もある。コンプライアンス上、問題があるようなオペレーションをするところが多いということである。