住職が“先延ばし”することも
続いてのステップは寺との交渉だ。竹田氏は「一般的には良心的な住職の方が多いのですが……」と前置きしたうえでこう語る。
「お寺にとって離檀は死活問題です。離檀の相談をすると、住職によっては『来年の夏にもう一度お話ししましょう』などと先延ばしにされることがあります。2回程度はぐらかされると6~7割の檀家さんが離檀を諦めるとも聞きます。そうしたなかでさらに強く墓じまいの意向などを伝えると、高額な離檀料を求められることがあります」
離檀料の請求に法的な根拠はないものの、穏便に話を進めるために、多少の額を「お布施」として包むことも考慮に値するという。
「墓じまいの手続きに必要な書類として『埋蔵証明書』が必要ですが、証明書には納骨されている寺院の墓地管理者からサインをもらわないといけません。そのサインを盾に離檀を拒否したり、高額な離檀料を求められたりするケースもありますが、墓地管理者は請求があった時には証明書を発行する義務があります」(竹田氏)
つまり、寺院の側が墓じまいや改葬を「許可しない」ということはできないのだ。
「その前提を理解したうえで、親が寺に世話になったという気持ちがあるのなら10万~30万円くらいのお布施を払うといいでしょう。その際には、檀家をやめる決断をした経済的な事情や墓の承継者がいないことなどを包み隠さず話しましょう。
ただし、寺格や僧階、檀家歴などによっては高額を請求されることもあります。そういったケースでは私たちプロに相談してもらうのもひとつの手です。我々が間に入る場合は、依頼者の意向や高額な離檀料を支払うことができないといった経済状況についての説明をすることで寺側に理解をお願いし、円滑な離檀をサポートします」(竹田氏)