費用はトータルで280万円程度かかるのが相場
寺との交渉が済んだら、「墓地埋葬法」に基づく手続きを進める。遺骨の移転先が発行する「受入証明書」、元の墓地にサインをしてもらう「埋蔵証明書」、元の墓地のある自治体が発行する「改葬許可申請書」の3点セットを持って元の墓のある自治体の役所に提出する。それにより「改葬許可証」が発行される。
「新しい納骨先がある場合は『改葬許可証』が必要となりますが、手元供養など自宅に遺骨を置いておくだけなら本来、書類は必要ありません。ただし、後になってどこかに納骨するということも考えられるので、先に書類を取っておくことが望ましいです」(竹田氏)
自治体によっては改葬許可証の発行までに1週間以上かかったり、1通数百円の発行手数料がかかることもある。余裕を持ったスケジュールで準備できるとよい。各種書類の手続きが済んだら、墓石の撤去などを始めていく。具体的に遺骨を移す作業を進めていくなかでは、それぞれの工程で発生する「費用の目安」を知っておきたい。別掲表にまとめた通り、改葬先によってもかかる費用は大きく変わってくる。
「閉眼供養や墓の撤去と遺骨の取り出しを経て、一般の墓に再び納骨するというプロセスなら、費用はトータルで280万円程度かかるのが相場とされています」(竹田氏)
墓石の撤去費用はケースバイケースだが、どういった場合に相場よりも高くなるのかは知っておくとよい。大橋石材店代表でお墓コンサルタントの大橋理宏氏はこう指摘する。
「撤去費用は1平方メートルあたり10万~20万円が相場だと考えてください。ただし、墓石の材質や墓が建つ場所によって変わります。田舎の山奥で重機を入れられない場合などは手作業で墓石を壊すことになり、高額になりがちです」