石材店の選び方は?
一方、竹田氏は作業を頼む石材店選びについて注意を促す。
「寺と石材店の関係は数十年続いているケースもあります。そのため、出入りの石材店を指定されることがありますが、複数の業者から見積もりを出してもらうかたちが望ましい。過去には石材店が1社に指定されている事例で、通常は工事費50万円程度の見積もりのところを80万円プラス遺骨取り出し作業費と心付けで合計100万円ほどの見積もりを出してくるケースもありました」
工事費が適正な価格かを判断できる知識を持っておいたほうが望ましいわけだ。最後に新たな墓に納骨することになるが、改葬先の経営状態や納骨の形式などをきちんと理解しておくことが、後々のトラブルを防ぐために重要になる。以上の手順を踏むのは決して楽ではないかもしれないが、ある程度の時間をかけてことを進めていくのも大切なことのようだ。前出の鵜飼住職はこう総括する。
「子供や孫に負担や迷惑をかけたくないから墓じまいをするという人が増えています。それはそれで必要なことですが、子供が墓をどう捉えているか、自分は先祖が眠る墓をどういうものと考えているかを一度、顧みることも必要です」
墓をめぐる問題は、様々な人の“気持ち”と密接に関係する。まずは自分の思いを整理することで、家族や寺院にも考えを伝えやすくなり、結果的に墓じまいを円滑に進めることにつながるのかもしれない。
※週刊ポスト2023年11月17・24日号