夫婦にまつわる数々の修羅場を見てきた夫婦問題研究家の岡野あつこさん(69)。わが身に降りかかった病「大腸がん」について、彼女は次のように語り始めた。
「私はこれまで病気ひとつしたことがなくて、丈夫なのが取り柄でした。とはいえ、定期的に健康診断は受けていましたし、がん検診も乳がん、子宮がんは2年に1回は受けていました。
そんな私が最初に異変を感じたのが、2016年のこと。自宅で急にお腹が痛くなり、吐き気や下痢が止まらなくなり、約5時間七転八倒したのです。
だけど、次の日になるとケロッと治る。そして食事をしたら、また腹痛が走る。その繰り返しだったので、さすがにおかしいと思って、近くの病院を受診しました」(岡野さん・以下同)
その病院でも詳しい原因はわからず、痛み止めと胃薬が処方されただけだった。
「お薬をのんでも、一向に腹痛が改善しなかったんです。そこで大きな病院の消化器系内科を受診し、検査を受けたのですが、診断されたのは『便秘』でした」
そこから便秘外来を受診。
「都内でも有名な便秘外来のクリニックに行って、食物繊維が豊富なサプリメントなどをすすめられるまま試してみました。腸内洗浄も8万円の回数券を使い、鍼、マッサージを受けたものの一向に改善しない。いま思えば、怖いことをしていたと思います。本当は大腸がんだったのに、腸内洗浄や食物繊維の過剰摂取など『がん』にとってはよくないことを続けていたわけですから」
そう話す岡野さんだが、当時はそう重くは受け止めていなかった。
「さすがにまったく症状がよくならないので、腹痛が起こったある日、息子に相談して救急車を呼んで病院に連れて行ってもらったんです。このときは入院セットも一緒に持っていきました。
搬送された病院で、まず受けた診断名が『腸閉塞』でした。さらに内視鏡検査をしたところ、6.5cmの大腸がんが見つかったのです。先生からは、『5年前からできていて、あと2年放っておいたら死んでいた』と言われてゾッとしました」