2021年には神奈川県川崎市の風俗店2店舗のオーナーが店の書類を偽造して収入を少なく見せ、3年間で約2億9000万円の所得を隠して約7000万円を脱税したとして、刑事告発された。新名氏はこう続ける。
「キャバクラ業界も申告漏れが多い。2015年には店のオーナーが仲間と3人と共謀し、それらの個人口座に売り上げを振り分けるなどして、3年間で1億5700万円の所得を隠し、5400万円を脱税した事件がありました。また、今回の国税庁の調査データはあくまで業者に対するものですが、キャバクラなどで働くキャストさんたちも税の知識が乏しいなどの理由で申告漏れが多いと言われています。お金の流れが見えにくいことから、申告漏れにつながりやすいと言えそうです。ただ、こうした業態がコロナ禍の影響で思うように営業できず。売り上げが激減しました」
入れ替わるようにランキングトップになったのが「経営コンサルタント」だ。同業種は2021年から2年連続で1位という不名誉な結果となっている。
「コロナのために売上不振に陥った企業がこぞって経営コンサルタントの門を叩いた。そのためにコンサル業種が例年以上に収益をあげ、申告がおろそかになってしまったのではないか。経営コンサルの業務の一つに、節税指導があります。あの手この手で節税策を指南するのですが、中には適法かどうかがグレーな方法もあると聞きます。ただ、申告漏れで追徴税を取られるようなコンサルは、コンサル失格に思えますよね」
2021年9月には千葉県市原市の経営コンサルタント会社とその顧問先の約50社が東京国税局の税務調査を受け、過去7年間にわたる計約20億円の所得隠しを指摘されている。